21.国破れて山河あり

参議院選挙後のつぶやきとして。

国破れて山河あり。富山の地に立つとき、この一句が脳裏に浮かぶ。時代がいかに変転し、権力が移ろい、幾多の人々が去来しても、大いなる自然だけが悠然とその姿を保ち続けてきたのである。

富山には立山・剱岳をはじめとした峻険な山々が屏風のごとく連なり、日本海の波は遥か昔より時を超え、河川は山の雪解け水を運んで肥沃な大地を潤してきた。その裾野には風雪に耐えた民が住み着き、自然の恩恵に細心の注意と畏敬の念をもって向き合い、独自の気質を育ててきた。

かつてこの国が戦乱の世に荒れ果て、人心が漂泊したときでさえ、富山の山河は黙して語らず、しかし確かにその地に生きる人々に糧と安堵を与えた。自然に抗うことなく、また、おのれを見失うことなく、粛々と生活を紡ぐ。そこにこそ、豊かさというものの本質があるのかもしれぬ。

歴史の流れのなかで変わるもの、そして変わらないもの。そのあわいに佇みつつ、大自然の恵みを謙虚に享受してきた富山の人々の姿こそ、日本という国の底流を成してきたのだと思う。