10.立山ガイド 佐伯知彦さん

佐伯さんは山の案内人の家系に生まれ、「四代目平蔵」を名乗っておられる。初代平蔵は立山案内人組合(現在の立山ガイド協会)を設立した人だ。

2019年5月、佐伯さんは富山県人で初めてエベレスト(8,848m)登頂に成功した。その準備として、海外の数千m級の山に8度も登って馴化を図ったそうである。これには莫大な費用が掛かったが、多くの人の援助で可能になった。佐伯さんの人柄と情熱の賜物であろう。

エベレストの入山口からベースキャンプまでは10日ほど歩く。ここで入山料を払うわけだが、その金額がなんと186万円⁈、ひえっ⁈である。入口に掲げられているプレートには「Sagarmatha National Park」と書いてある。サガルマタはエベレストのネパール語名なので、今後この山は「サガルマタ」と呼ばれるかもしれないとのことだった。

標高5,300mのベースキャンプは氷河の端っこに位置する。ここに1ヶ月ほど滞在して体を馴らす。仕事は食べることである。どんどん体重が落ちるので、体力を維持するために無理をしてでも食べる。

ベースキャンプからアイスフォールを通って5,900mのキャンプ1へ。次に、氷がガバッと口を開けているクレバスだらけの氷河を渡って6,400mのキャンプ2へ。7,300mのキャンプ3まではアイゼンが跳ね返りそうなガッチガチの氷壁だ。7,600mぐらいのところにはイエローバンドと呼ばれる岩山があるが、貝などの化石が見られることもあるとか。そして、最後のキャンプ地となる8,000mのキャンプ4へ。ここで酸素マスクを着ける。お湯の沸騰温度は73度。

頂上を目指し夜の10時に出発。翌朝4時50分にご来光を拝む。太陽の光を浴びると凍っていた体が元気になり、太陽って本当にすごいと実感したそうである。

富山県の旗を持って頂上に立たれた写真の中の先生は、真っ黒な顔と真っ白な歯が輝いていた。

「あきらめなければ夢は叶う」とおっしゃったが、私は山は見るだけにしようと思った。

ーー富山地区生涯学習団体協議会の方の感想よりーー

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